- 認知症に関連する診察をご希望の方へ
- 認知症関連の診察にてご来院の際には、必ず事前にご予約をください。
当院の認知症診療
認知症の診療では、患者さま本人へ「もの忘れ、認知症」という言葉を用いることで、尊厳を損なう可能性があります。
そのため当院では、診察時に「もの忘れ、認知症」という言葉をできる限り使用せずに行うことも可能です。
ご希望がある場合は、事前にスタッフにお伝え下さい。
また、その場合は、患者さまの検査中や診察後にご家族さまだけご面会の機会をいただきます。
認知症とは
認知症とは一度正常に発達した認知機能が、後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活に支障をきたすようになった状態と定義されます。本邦では、高齢化とともに認知症患者数も増えています。認知症の診断には、うつ病やせん妄、甲状腺機能低下症など認知症と似た症状の疾患と鑑別することが大切であり、原因疾患により治療法がそれぞれ異なります。また認知症と診断された場合でも、その種類によっては認知症薬を用いて進行を抑える治療の適応となることがあります。
このような症状にお気づきの方はご相談を
- その日に食事をしたのかどうか思い出せない
- その日に外出したのかどうか記憶にない
- 財布やクレジットカードなど、大切なものを頻繁に失くすようになった
- 何度も同じことを言ったり、聞いたりする
- 慣れている場所なのに、道に迷うことがある
- 自分が今いる場所が分からなくなることがある
- 薬の管理が出来なくなった
- 以前は好きだったことや、趣味に対する興味が薄れた
- あてもなく辺りを徘徊し、元の場所(自宅など)に戻れなくなる
- 鍋を焦がしたり、水道を閉め忘れたりすることが目立つ
- 突然、怒り出したりする
- 財布を盗まれたと言って騒ぐことがある
認知症の治療
認知症の治療の基本は、患者さま本人やご家族から何に困っているかをしっかり聴取する必要があります。一番困っていることに対して、薬剤での介入や環境調整などを計画します。認知症の治療の根本は、患者さまや家族とのコミュニケーションにあると言えます。なんでも話せる良好な関係こそ大切です。
☆主な認知症の薬物治療について
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アルツハイマー型認知症の薬物療法は、主に2つのタイプの薬があります。
- (1)
- 認知機能を増強させ、記憶障害や見当識障害を改善し、病気の進行を遅らせる薬
- (2)
- 不安、焦り、怒り、興奮、妄想などの認知症の周辺症状を抑える薬
- 脳血管型認知症は脳血管障害の再発によって悪化していくことが多いため、再発予防が重要となります。脳血管障害の危険因子である高血圧、糖尿病、心疾患をコントロールするための薬剤、脳梗塞の再発を予防する薬剤が使われます。患者さまの状態によっては気持ちの調整を行う薬などを用いることもあります。
- MCI(軽度認知障害:健常と認知症の中間の状態、手助けなしに独居生活が可能で認知症の診断基準を満たさないもの)は、大変注目されています。その理由は、MCIから正常認知機能に回復する方が多いためです(逆もあります)。MCIの治療には、生活習慣や生活習慣病などとの関連を多く指摘されています。当院では、MCIの方に対して認知機能を高めるための生活指導、危険因子の抽出・除去を行います。